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ネットワーク

PPPの役割

2001年夏ごろから開始されたNTT東西のFTTHサービスは、プロバイダ接続方法としてPPPoEを採用しました。ブロードバンド時代の標準プロトコルとして、パソコンOSやブロードバンド・ルータに取り入れられています。PPPoEクライアントの代表的な機能として、クライアントがプロバイダの正規のユーザであることを承認するユーザ認証、プロバイダからグローバルアドレスを割り当ててもらうIPアドレスの取得があります。これらの機能を実際に実行するのはPPPと呼ばれるプロトコルです。PPPoEとPPPの関係を見ると、PPPoEはLAN環境でPPPを使うためのルールと規定したプロトコルで、ユーザ認証などの規定はありません。つまり、PPPoEクライアントとは、LAN環境でPPPを実行するためのソフトとなります。このスキルアップ講座では、PPPについての解説をすることにします。

データリンク層での動作

PPPの本来の役割は、電話回線やISDNなどのWAN回線で直接結ばれた機器の間で、データを正確に、しかも効率的に届けることです。PPPは隣り合う機器だけでやりとりするプロトコルなので、データリンク層に位置し、レイヤー2プロトコルと呼ばれます。データリンク層のプロトコルは、やりとりするデータをいくつかのフレームに分割し、そのフレームを単位として送信します。

データリンク層のプロトコルは、End-To-Endの通信を行うのですべての通信において必ず使われます。PPPのほかにLANでよく使われるデータリンク層のプロトコルにMACがあります。LANとWANを経由してデータが運ばれるときMACとPPPの関係を見てみると、まずパソコンがIPパケットをMACフレームの中に納めてからルータに送信します。MACフレームを受け取ったルータは、一旦MACフレームの中からIPパケットを取りだします。取り出したIPパケットを今度はPPPフレームの中に入れて相手先のルータまで送ります。相手先のルータは、それを受け取るとLAN内に運ぶためIPパケットを取りだして、再びMACフレームに入れて宛先となっているサーバなどに届けます。このように回線が変わるたびにデータリンク層のプロトコルは変わります。IPパケットは基本的にはまったく変わりません。これは、IPパケットをいう荷物を運ぶとき、それまでの運ぶルート(路)が変わるたびに運ぶものが車になったり、汽車や船になったりするようなものと同じです。IPはEnd-To-Endでデータを運ぶことを目的としますが、PPPは回線で結ばれた隣同士の機器の間だけで完結します。実際のネットワークでもPPPはいろいろな回線で使われていて、それぞれの回線で結びつけられた機器の間ごとにPPPが動いています。

拡張性はモジュールで実現

PPPは、いくつかの機能を動作ごとに独立させ、それを多数組み合わせて全体としている構成(モジュール構成)をしているため、拡張性に富んでいます。このモジュール構成を大別すると2つになります。一つは基本となる通信機器を担当するLCP(link control protocol)で、オプション機能にはユーザ認証などがあります。もう一つは、LCPの上位で動くNCP(network control protocol)で、レイヤー3のプロトコルごとに決められ、その仕様は決まっています。大きく分けると2つになりますが、PPPは単一のものではなく、多数のプロトコルの集合体となっています。

PPPの機能

PPPはよく利用されている理由として、データを誤りなく届ける役割に加え、データ通信を円滑に行う4つの基本機能が存在するからです。4つの機能とは交渉、認証、通知、監視のことで、ユーザ側に使いやすさを提供するためのものになります。

PPPの4つの機能のうち、もっとも効果的で重要なものは交渉機能です。交渉機能は、すぐにお互いの最善の通信条件を見つけて、その条件で通信ができます。詳細は後で記述することにします。認証はLCPが持っているオプション機能で、ユーザIDとパスワードを相手に届け、正規のユーザであることを承認してもらう機能です。通知はIPCPのオプション機能で、プロバイダにダイアルアップ接続したとき、自分のIPアドレス、デフォルト・ゲートウェイ、DNSサーバのIPアドレスを自動的に取得し設定できる機能です。4つめの機能である監視は、LCPの持つ機能で制御データを相互にやりとりすることで、PPPデータを正しくやりとりしているかどうかを監視することです。

【PPP:PPPの役割】