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ネットワーク

第10幕

今回は、ネットワーキングデバイスのルータについてのお話です。
ルータには、さまざまなものがありますが、小規模な会社や家庭内のLANで利用するルータは、一般的にブロードバンド・ルータと言われるものです。
では、会話を聞いてみましょう。

「では、今回は『ルータ』のお話ですね。」


「了解。ルータは、ネットワーク上を流れるデータを他のネットワークに中継する装置なんだ。」


「スイッチング・ハブやリピータとどこが違うんですか?」


「スイッチやリピータは、同じLAN内のホストを繋ぐ場合に利用するけど、ルータは異なるLANを繋げるものなんだ。」


「う~ん。ちょっと分からない・・・。」


「同じLAN(ネットワーク)は、送信先のホストが同じ場所(範囲)にいるのだから、直接話すことができるんだ。でも、違うLAN(ネットワーク)のホストと通信したいとき、知らない場所(範囲)にいるから、直接通信することはできないんだ。」

「じゃあ、例えてみると・・・。私の家で私のお母さんに手紙を渡す場合は、同じ家の中にいるので、直接その手紙を渡せますね。でも、ボーノ先生に手紙を渡すのであれば、家の外になるから一旦外に出て、ボーノ先生の家に持って行き、渡すことになりますね。」

「うん。だいたいそんな感じだね。でも、人間の世界であればナーニちゃんが届けてくれるけど、ネットワークではホストが直接持って行けないだろう。」

「そうですね。じゃあ、一旦郵便ポストに入れて、郵便屋さんがボーノ先生に渡してくれると考えたらいいのですか?」

「うん。その方が正しい例えだね。その郵便屋さんの役目がルータなんだよ。」


「じゃあ、ルータに送りたいデータを渡したら、後はルータに任せっぱりでいいのですか?」


「いいよ。ルータは、それが仕事なんだ。この仕事のことを『ルーティング』と言って、最適な経路を選択して送り出してくれるんだ。」

「どこに送り出すんですか?」


「送信元の一番近くのルータまでだよ。実は、ルータはバケツリレー方式をとっているんだ。ナーニちゃんと僕の家の間にもいくつかルータがあり、ナーニちゃんのルータから僕のルータまでデータを送り届けてくれる仕組みだよ。」

「へぇ~。凄いですね。ルータってどのくらいの数あるんでしょうね。」


「莫大な数になるだろうね。でも、人間はそのルータの数を知らなくてもいいんだ。」


「でも、もしですよ。送信先が引っ越しや、何かでネットワークがなくなった場合、そのデータはどうなるのだろう。」


「実は、あるルールがあり、いくつかのルータを行き来して、どうしても相手が見つからない場合は、ルータがそのデータを捨てるんだ。」

「それって、勿体ないですね。」


「いやいや、勿体ないという話ではないんだ。もし、送り先不明のデータがたくさん増えると、ネットワークの混雑を招くだろう。だから、どこかで処分をしなくてはならないんだ。」

「そうですね。目的のない車が、道路に溢れてしまうと渋滞しますよね。」


「ブリッジやスイッチング・ハブの時は、MACアドレスで送信先の場所を見つけられるけど、ルータは違うんだ。」


「違う住所(アドレス)なんですか?」


「うん。ルータは、『IPアドレス』という情報で送信先を見つけるんだ。」


「IPアドレスって、なんか聞いたことあるなぁ~。」


「パソコンの通信の話になると、絶対IPアドレスという言葉が使われると思うよ。」


「うん。うん。」


「IPアドレスについての詳細は、また後日に話してあげるね。」


「はい。MACアドレスとIPアドレスの違いだけ、教えてもらえますか?」


「MACアドレスは、別名『物理アドレス』とも言うんだ。NICに付いている番号で、世界に一つしかない番号だとは言ったよね。このMACアドレスは、NICの製造時にアドレスを焼き付けているので、変えることができないんだ。」

「そうでしたね。」


「IPアドレスは、別名『論理アドレス』と言うんだ。このアドレスは、LAN内では使う人が自由にアドレスを設定できるんだ。設定するところは、ホストのネットワークの設定画面でだよ。」

「どんなアドレスでもいいのですか?」


「いや、使用できるアドレスの範囲が決まっているから、その範囲の中であれば、どれでも良いんだ。」


「自由に変更できるところがMACアドレスと違うところですね。」


「そうだよ。じゃ~、分かりやすいように例えてみようかな。」


「よろしく~。」


「MACアドレスは、宮崎智子さんとしようかな。そして、IPアドレスは宮崎智子さんの住所としよう。」


「宮崎智子さんって、世界中にたくさんいますよ。」


「いやいや、これは人間の世界に例えただけで、ネットワークの世界では一つしかない名前だと思ってくれよ。だから、ここの話では宮崎智子さんは世界中に一人しかいないと仮定してね。」

「はーい。分かりました。っで・・、それから?」


「ネットワークの世界だから結婚ということもないから、宮崎智子さんが途中で名前を変えることができないよね。」


「なるほど、宮崎智子さんが世界に一人しかいなくて、生まれてから名前を変更しないからMACアドレスになるんですね。」

「それと、IPアドレスは宮崎智子の住所だけど、引越したら住所が変わるよね。」


「なるほど、IPアドレスは自由に変えられるからですね。」


「ナーニちゃんが、宮崎智子さんへ手紙を書くときどうする?」


「まず、住んでいる住所と送りたい人の名前を書いて、ポストに入れます。」


「そう~。実はネットワークでも、送るデータにIPアドレスとMACアドレスの2つの情報を使っているんだ。」


「さっき、私のお母さんに手紙を渡すのであれば、MACアドレス、つまりお母さんの名前を書いておけば、お母さんへの手紙だと分かるから受け取ってくれますね。」

「そう。僕に送るときは、僕の名前だけでは届かないよね。だって、途中で郵便屋さんが僕の居る場所が分からなければならないからね。」

「先生に送るんであれば、住所と先生の名前を書かないと届けられませんからね。」


「分かったかな。つまり、ルータ(郵便屋さん)は違うネットワークにいるホストに渡す役目を行うから、相手のIPアドレス(住所)を読み取って、相手先を見つけるんだよ。」

「ルータは、違うLANにいるホストと通信をするときには、絶対必要だということですね。」


「必要だよ。それがルータの役目だからね。ルータはLAN間装置とも呼ばれ、その他の機能もたくさん持っているんだ。機会があれば、またその時に話すね。」

「お願いします。(お辞儀)」


「ルータという装置は、小さな通信の橋渡しを行って、大きな通信を実現していると言っても良いかな。」


「橋渡しをやっているんですね。」


「うん。欄干装置という言うぐらいだけに。」


「ん?LAN間装置、橋の欄干??」


「じゃ~!」


ルータの役目が分かったでしょうか?ルータは、世界中にたくさん存在しています。
例えば、皆さんがYahooのホームページを見る時も、複数のルータを経由してホームページのデータを送ってくれるのです。ルータは、最適な経路へ導く役割を行っているので、あるネットワークが混雑していると、それを察知して混雑をしていないところを経由してデータを送ります。だから、同じ場所にデータを送る場合、昨日と今日のルータの経路が異なることがあります。

ルータは、IPアドレスを基にして、送信元のホストのネットワークの方へデータを送りだします。ただし、そのデータが確実に送信元のホストに届いたかどうかまでは見ていません。会話の中でもありましたが、ルータはバケツリレー方式をとっています。目的は、次のルータにデータを確実に渡すことです。消防のバケツリレーでも、隣にいる人に水の入ったバケツを渡せば、火元に水が送られると思っているからです。ルータは、膨大なデータを扱いますので、一つ一つのデータの面倒を見ていたら、とてもたくさんのデータを処理することはできません。適切な方向へデータを送りだすことだけに専念していれば、たくさんのデータを処理することができます。それに、すべてのルータが適切な方向へデータを送りだしているのですから、ちゃんと目的地までデータが送られるはずです。

基本的に、LANの端っこで他のネットワーク(LAN)と繋ぐ装置がルータとなります。また、ルータのことを「デフォルト・ゲートウェイ」とも言います。要するに、最初の(LANの)入口ということですね。

【第10幕:ネットワーキングデバイス(ルータ)とは②】