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ネットワーク

第9幕

伝送媒体には、LANケーブルか無線を使ってホスト同士を繋ぐことは理解できたでしょうか。LANケーブルを使用する場合、複数のホストと繋ぐ場合には、中継装置と言われるネットワーキングデバイスが必要となります。無線LANの場合は、無線ルータがネットワーキングデバイスとなります。ここでは、LAN で主に使われているネットワーキングデバイスについてのお話です。

「先生。LANケーブルを使った場合、たくさんのホストと通信するときには、ネットワーキングデバイスという装置が必要でしたね。」

「そうだよ。ネットワーキングデバイスには、特徴によっていくつかの種類があるんだ。」


「では、それについて説明をお願いします。」


「了解。紹介する装置の数は4つあって、1つずつ紹介するね。」


「はい。お願いします。」


「まず、『リピータ』という装置。この装置は通信距離を延長させるときに利用したんだ。」


「通信距離を延長?!どういうことですか。」


「リピータは、電気信号を増幅して、整形することができるんだよ。伝送媒体にLANケーブルがあったよね。」


「はい。ありましたね。」


「主流となっているLANケーブルってなんだか覚えているかい?」


「ツイストペアケーブルでしたね。」


「そのツイストペアケーブルなんだけど、最大100mまでしか電気信号が正しく送れないんだ。つまり、電気信号が正しく認識できる距離が100mまでとなる。」

「じゃあ、150m先のホストと繋いでも、そのホストには電気信号が届かないということですか。」


「うん。電気信号もケーブルの中の銅線を伝わっていくから、距離が延びると抵抗やノイズなどで電気信号が弱くなり、最後にはなくなるんだよ。」

「そこで必要なのが、電気信号を復活させてくれる装置なんですね。」


「そうだよ。リピータは電気信号を元の大きさに増幅して、形も整えてくれる装置だから、物理的に遠くに離れているホストと通信したいときには、必要なんだ。」

「欠点はあるんですか?」


「その前に、リピータという装置には、もともと2つしかポートがないんだ。でも、実際に市販されている装置には複数のポートがあるリピータになる。それを『リピータ・ハブ』と呼ぶんだ。」

「ポートってケーブルを差し込める穴でしたね。そのポートの数が通信できるホストの数でしたよね。」


「おお。すごいね。よく覚えているね。」


「おっほん!」


「そのリピータ・ハブだけど、例えばAからEまでの5台のホストと繋いでいるとするね。ホストAからホストBへデータを送る場合、一旦リピータを通過するけど、リピータにはデータを制御する機能がないから、どのポートへ送り出せばよいか分からないんだ。だから、リピータは、すべてのポートにデータを送りだせば、必ず受け取るホストに届くだろうと考えるから、すべてのポートにデータをコピーして送り出すことになる。」

「あれあれ、だったら関係ないホストも受け取ることになりません?」


「受け取るのはホストBだけなんだ。でも、無駄なデータも流してしまうところがリピータの欠点だよ。」


「なぜ、受け取るのはホストBだけなんですか?全部のホストにばら撒いているのに。」


「じゃあ、データを郵便物に例えてみよう。郵便物には、必ず相手の住所や名前を書くだろう。ネットワークでも同じで、ホストの住所と名前が書いてあるんだ。」

「それって凄いですね。ホストに住所と名前があるんだ。」


「そのことは、また後日話すことになるよ。」


「楽しみ・・・。どんな仕組みなんだろう。」


「さて、話を元に戻すと、ホストAがホストBへ宛てたデータだから、ホストBへデータが送られたら、ホストBは自分あてだから必ず受け取るよね。でも、ホストCやホストDなどが受け取ったら、自分宛てではないので、そこでデータを捨てるんだ。」

「わぁ~。勿体ない。私だったら、絶対見るね。」


「ホストは人間ではないからね。それにネットワークでは、自分宛てではなかったらデータを捨てるというルールがあるんだ。」

「ルールがあるんですか?」


「もちろん!これは重要なことで、ネットワークではこのルールを勉強すると考えても良いよ。」


「ルールかぁ~。大丈夫かな・・。」


「法律ってことではないから、気軽に考えてごらん。」


「はい。では、お気軽に・・。」


「リピータ(リピータ・ハブ)を整理してみよう。この装置は、電気信号を増幅・整形する装置で、伝送距離を延ばす役割をする。欠点は、リピータ・ハブにつながっているホストに、データを流すことになるので、無駄なデータを送ることになり、この無駄なデータが増えると通信が遅延してしまう原因にもなるんだ。今では、市販としては少ないと思うよ。」

「リピータだけに、リピーターがいるような気がしますが。(汗)」


「次行こうか。次なる装置は『ブリッジ』という装置だね。」


「『架け橋』って感じですね。」


「ブリッジの特徴は、繋がっているホストの住所を覚えることができるんだ。」


「え~、住所を覚えられるんですか?なんでまた、覚えるんですか?」


「その質問の前に、説明を付け加えるね。ブリッジという装置も2つのポートしか持っていないんだ。」


「リピータと同じなんですね。じゃ。ブリッジ・ハブというのがありそうな気がしますね。」


「さすがにそのような名前の装置はないけど・・。」


「装置はないけど・・・。じゃ~、似たようなものがあるんだ。」


「ブリッジの機能が各ポートに備わっている装置があるんだ。それを『スイッチング・ハブ』というよ。」


「ということは、ブリッジという装置よりも、スイッチング・ハブをよく使っているということですね。」


「そういうこと。ブリッジという装置もほとんど見かけないよ。それに、スイッチング・ハブの機能を紹介することは、ブリッジ機能を紹介することと同じだからね。」

「では、スイッチング・ハブとはどんなものか教えください。」


「じゃ、例えて話してみようかな。さっきと同じで、5台のホストがスイッチング・ハブに繋がっていると思ってごらん。」


「ということは、スイッチング・ハブには5つのポートがあり、それぞれにホストが繋がっていると思っていいのですね。」

「うん。そういうこと。ホストAが1番のポート、ホストBが2番のポート、ホストCが3番、ホストDが4番、ホストEが5番に繋がっているとするね。」

「はい。ポートにも番号を付けるんですね。」


「ホストAがホストBにデータを送ると、最初はスイッチング・ハブは、どこにホストBが繋がっているか分からないから、全部にデータを送るんだ。最初だけは、リピータと同じだよ。 でもね。一つだけ違うんだ。ホストAからデータを受け取ったので、スイッチング・ハブはポート1番はホストAが繋がっていると分かるよね。その時、スイッチング・ハブは、表を作ってポート1番はホストAと繋がっていることを覚えるんだ。」

「うん。うん。」


「それから、実はデータを貰ったホストは、データを受け取ったことを送信元のホストに伝える必要があるんだ。だから、今度はホストBがホストAにデータが届いたというデータを送ることになるよね。スイッチング・ハブを介しているから、ホストBはポート2番に繋がっていることが分かる。それと、住所はホストAだよね。先ほどの表を見るとホストAは、ポート1番と繋がっていることが分かるから、この時ポート1番だけにホストBからのデータを送るんだよ。」

「へぇ~、ってことは、ホストC、D、EにはホストBからのデータは送らないんですね。」


「そう。だからリピータと違って無駄なデータを送らないよね。スイッチング・ハブは、どのホストがどのポートと繋がっているということを、その場で記憶しているから、スムーズに通信することができるんだ。」

「ところで、何を決め手にしてホストAとかホストBとか分かるんですか?」


「識別できるアドレス(住所)は、『MACアドレス』というものなんだ。」


「アドレスという言葉が付いているから、住所なんですよね。」


「うん。住所だね。ホストには3つの住所があるんだ。その中の一つになるよ。」


「え?3つも住所があるんですか?」


「住所という言葉が適当かどうか分からないけど、MACアドレスのほかに、IPアドレス、コンピュータ名が住所と言われるんだ。」

「じゃ~、どれか一つの住所だけ分かれば、通信できるのですか?」


「実は3つとも分からないとホストを特定できないんだ。これは、また後日に話すことにするから、楽しみにしていてね。」

「楽しみにしてま~す。。。(汗)」


「スイッチング・ハブの特徴を整理してみようかな。スイッチング・ハブは、MACアドレスを基にどのポートにホストが繋がっているかを学習することができる。そして、送信元から受信先へデータが送られる時、関係ないホストへはデータを送らないから、円滑に通信ができ、無駄なデータを流さないので、遅延は起こりにくくなる。こんな感じだよ。分かったかな。」

「はい。スイッチング・ハブに学習能力があるとは凄いですね。」


「次は、ルータという装置なんだけど・・・。気分を変えて、これは次回にしようね。」


「先生ったら、ここで気持ちが切り替わるんだから・・・」


「スイッチだけに・・・・・。(笑)」


今回は、ネットワーキングデバイスであるリピータとブリッジとスイッチング・ハブについてでしたね。
ブリッジ機能は、スイッチング・ハブの中で取り込まれていますので、あえてブリッジ装置には触れていませんでした。
リピータは、もっとも単純な中継装置で、伝送距離を延ばしたい時に利用されました。現在では、リピータの数も減ってきています。その理由は、スイッチング・ハブが普及し、それに伴い価格も手に届くまでになったからです。
ブリッジ機能とは、転送先のMACアドレスを見て適切なポートにのみ電気信号を中継するものです。この機能がポートごとに備わっているのがスイッチング・ハブになるわけです。

MACアドレスという言葉が出てきましたが、ここで簡単に紹介すると、NICに書き込まれている情報になります。この情報(MACアドレス)は、世界中でユニーク(一意)な情報なので、絶対重複することはありません。つまり、ホストに設置しているNICのアドレスは、世界中に1つしかないアドレスになるので、それを手がかりにしてホストを識別することができます。
スイッチング・ハブは、このMACアドレスとポートの番号の対応表を作成して保存をしています。この対応表を「アドレステーブル」と呼びます。もし、LANケーブルを他のポートに入れ替えた場合、アドレステーブルを書き換えて、常に最新の状態を維持する機能を備えています。

【第9幕:ネットワーキングデバイス(リピータ、ブリッジ、スイッチング)とは①】