トップ > スキル : ネットワーク > 基本知識(第7幕)

ネットワーク

第7幕

前幕はLANの構成要素のお話でした。ご自分でLANを作ってネットワークを始めたい方は、一般に伝送媒体とネットワーキングデバイスを購入してもらえれば、ほぼできるはずです。その他(NICやネットワークOS)は、既にパソコンに内蔵されているのが当たり前ですからね。
今回は、用意しなければならない、伝送媒体のお話です。

「先生。伝送媒体という言葉・・ちょっと馴染めないですね。」


「伝送媒体とは、ケーブルや無線、赤外線などのような通信信号を流すための道具の総称だよ。有線LANといえば、LANケーブルを使い、無線を使うときは無線LANというね。線を使うか使わないかの用途に分かれるよ。」

「有線LANと無線LANの違いは分かりますが、どちらを使えばよいか、選ぶときのヒントは何ですか?」


「ケーブルを使う方は、ケーブルを引きまわすので線がむき出しになって見栄えが悪いかな。見栄えが悪くなるなら『モール』というものを購入すると線をその中に入れて、線を隠すことができるけどね。店頭販売するような箇所であれば、見栄えを大事にするから無線LANが良いよね。」

「そうですね。営業所とか自宅であれば、そんなに見栄えは気にしないからケーブルだけど、私は無線を使っていますよ。」

「うん。どちらを使っても構わないけど。一つだけ注意点があるね。」


「え?注意点があるんですか。」


「うん。セキュリティの問題だよ。ケーブルならそれが繋がっているホストだけの通信になるよね。でも、無線は四方八方に飛んでいくので、第三者のホストにもデータが流れる可能性があるよね。悪意の行動であれば、『傍受』ということだよ。」

「怖いですね。無線だと目に見えないから、制御できませんよね。」


「だから、無線LANを利用する人は、セキュリティをしっかりと施して通信する必要があるよ。詳細は下の表を見ておいてね。」

長所 短所
有線LAN 通信状態が安定している
設定が簡単
通信速度が速い(100Mbpsが主流)
セキュリティ面では比較的安全
配線が面倒
接続台数は中継装置のポート数が上限
無線LAN ケーブルが不要
多数のPCを接続可能
配線がないため移動が簡単
見栄えが良い
電波状態が安定しない
環境によって通信状態が大きく変わる
通信速度が遅い(11Mbps、54Mbps)
セキュリティ面に配慮が必要
設定が多少面倒

※ 無線LANの速度は、現在では高速となる100Mbpsを超える機器も存在します。

「じゃあ、ケーブルのことから具体的に話して行こう。」


「いろいろなケーブルがありそうですね。」


「うん。ケーブルと言っても何種類かあるね。まず、同軸ケーブル、ツイストペアケーブル、光ケーブルが一般的にLANで使われているケーブルになるよ。」

「どのケーブルを使っても良いのですか?」


「現在は、だいたいは『ツイストペアケーブル』を使っているね。同軸ケーブルは、ネットワークの初期の段階で使われていたんだ。それと、光ケーブルは最新のケーブルだから普及はあまりしていないね。値段もかかるし、それと簡単に扱えることができないから、専門の方にお願いすることになる。」

「同軸ケーブルからツイストペアケーブルに変わったということですか。」


「うん。同軸ケーブルを使っているところもあるようだけど、ツイストペアケーブルの方がメリットが多いから、普及しているんだ。」

「メリットって?」


「同軸ケーブルは、ケーブルそのものが加工しにくいから、設置するのが大変なんだ。一般的にテレビのアンテナ線が同軸ケーブルだよ。たぶん、ナーニちゃんも見たことがあると思うけど、太さが太いし堅いから、部屋のコーナーをうまく伝わせることが難しいよね。それに比べてツイストペアケーブルは、曲げやすい特徴があるんだ。もっとも普及した理由は、安いということかな。」

「じゃあ、ツイストペアケーブルは、どんなケーブルなんですか?」


「ツイストペアケーブルの中には8本の線が2本ずつ撚(よ)り合わされているんだ。もちろん、送信用と受信用に分かれているよ。」

「なんで撚り合わされているのですか?」


「不規則に撚り合わすことによって、外部からのノイズをできるだけ防ぐためだよ。」


「ノイズにも大きい、小さいがあると思うんですが、どんなノイズでもいいのですか?」


「実はツイストペアケーブルには、『STP』と『UTP』の2種類あるよ。強いノイズを防ぐためのシールド付きのツイストペアケーブルが『STP』、シールドが付いていないのが『UTP』なんだ。」

「では、STPを購入すればノイズがあっても大丈夫ということですね。」


「いやいや、一般家庭や会社であればUTPで十分だよ。STPを使う場所は、騒音の大きい工場や飛行場などだよ。それにSTPは、シールドが付いているからコスト的に高くなるからね。」

「LANってコストが安いというところから、UTPを使っているんですね。」


「UTPケーブルも実は2種類あるんだ。」


「えー!!何、それって。」


「そんなに驚かなくても・・。(汗)その2種類とは、クロスケーブルとストレートケーブルに分けられるんだ。」


「クロス、ストレート・・・。なんだろう。」


「先ほどツイストペアケーブルは、8本線が撚り合わされているといったよね。それぞれには順番があり、クロスはある線が途中で交差して違う番号に繋がっているんだ。ストレートは、名前のとおり順番は入れ替わっていないんだ。」

「これらは、どのように使い分けるんですか?」


「クロスケーブルは、同じ装置同士を繋ぐときに使用する。例えば、ホスト同士を直結したり、ハブとハブを繋ぐとき。ストレートケーブルは、異なる装置同士を繋ぐとき。例えば、ホストとハブ、ハブとプリンタなどだよ。」

「じゃあ、繋ぐ装置を確認してから、どちらを買うかを決めないといけなんですね。」


「うん。そうなんだけど、最近はハブがケーブルの種類を認識できる機能が備わっているから、ほとんどストレートケーブルを買えば問題ないよ。それに、ホスト同士を直結してネットワークをすることは、使い方としてのメリットがないため、使用している人はいないと思うね。例外のことはあるかもしれないけどね。」

「それでは、ツイストペアケーブルを買うときは、UTPのストレートケーブルを買えば問題ないんですね。」


「いやいや~、それだけではないんだよ。」


「わぁ~、まだあるんですか?」


「もうひとつ大事なこと、つまりケーブルの品質があるよ。」


「品質?むずかしそう~。」


「品質と言っても難しくないよ。簡単に言うと、通信速度に見合っているかということなんだ。LANの通信速度には10Mbps、100Mbps、1000Mbpsなどの種類があるんだ。」

「通信速度が選べるんですね。」


「そうだね。現在の主流は、100Mbpsの速度になるね。その速度が流されるかどうかの指標が通信の品質になり、これを『カテゴリ』と呼ぶんだ。」

「また、横文字だ~。メモ取っておかないと・・・」


「カテゴリには数字があり、カテゴリ1からカテゴリ6まであるかな。将来は、もっと数字が多くなると思うけどね。
100Mbpsは、カテゴリ5、カテゴリ5eの2つがある。1000Mbpsであれば、カテゴリ5e、カテゴリ6。」

「カテゴリ5eは、100でも1000でも使えるのですね。」


「うん。一般に、数字の大きいものはそれより遅い速度はすべてカバーできると考えられるね。だから、自宅が100Mbpsであってもカテゴリ6のケーブルを買っても問題ないよ。逆に、1000Mpbsの速度で通信ができるのに、ケーブルがカテゴリ5だったら100Mbpsの通信になってしまうよ。」

「だったら、カテゴリの数字の大きいものを買えば問題ないですね。」


「うん。そうだね。将来1000Mbpsが主流になることは間違いないから、買っていてもいいだろうね。」


「けっこう、ケーブルと言ってもいろいろと考えさせられますね。」


名称 最大伝送速度 用途
カテゴリ1 20Kbps 電話
カテゴリ2 4Mbps ISDN、低速デジタル端末
カテゴリ3 16Mbps 10Base-Tなど
カテゴリ4 20Mbps トークンリングなど
カテゴリ5 100Mbps 10Base-T、100Base-TX、ATMなど
カテゴリ5E 1Gbps 1000Base-Tなど
カテゴリ6 1.2Gbps 1000Base-TX、622Mbps/1.2Gbps ATMなど

「ケーブルのことを『LANケーブル』というよ。整理してみると、LANケーブルを購入するときは、UTPケーブルでストレートケーブルのカテゴリ5以上となるね。」

「探すのが大変そうですね。」


「そうでもないよ。たぶん、販売されているお店の陳列には、それが中心となって並んでいるから、間違う恐れは少ないかね。」

「なんだ~。早く言ってくださいよ。」


「(笑)」


「次は、無線LANの説明ですね。」


「今日は、だいぶ話したから次回にしようか。」


「はい。分かりました。でも、今日はオチがなくて終わるんですか?」


「今日のこれまでの話の中で、『おち』という言葉なんか全然言ってないよ。」


「『おち』『なし』か。そうきたか~~。(汗)」


有線LANで使用するケーブルの話でしたね。一般的にLANケーブルと呼ばれ、会社や家庭内で良く利用されています。無線LANより設定が楽で利用しやすく、コストも安く抑えることができます。

二人の会話にもあったように、LANケーブルと言えば「ツイストペアケーブル」となります。ケーブルが丸いものや扁平のものがあり、選べる幅も広がっているようです。また、ケーブルの色もカラフルになり、線の色でどのホストに繋がっているか見分けやすくなりました。

【第7幕:伝送媒体の種類】