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ネットワーク

IPアドレスのブロック管理

このページでは、実務として部署や組織にIPアドレスを割り当てることを見ていきます。基本として、IPアドレスを割り当てる場合は、ブロック単位で考えます。ブロック単位にすることで管理しやすくなり、トラブルが生じたときに早期の対処が可能です。

プライベート・アドレス

現在まで使用されているIPアドレスはIPv4(バージョン4)で、約43億個のIPアドレスが存在します。しかし、今ではIPアドレスの枯渇問題が生じ、問題定義されてきましたが、ここ数年IPv6(バージョン6)の導入が検討され、これに移行しつつあります。IPv6は天文学的な数のIPアドレスが存在しますので、枯渇問題は解消され、オプション導入されたIPアドレスになっています。ここでは、IPv4のIPアドレスを取り上げます。

IPアドレスはインターネット上の機器を識別するための情報となり、重複してはいけないものとなります。でも、直接インターネットに繋がないホストには、自由に割り当てることが可能なIPアドレスが存在します。これをプライベート・アドレスと呼びます。社内LANには、このプライベート・アドレスを割り当てることになります。

プライベート・アドレスには上の3種類があります。その他にもリンクローカル・アドレスと言われるものがあり、インターネットと直接繋がっていないネットワークであれば自由に使えます。その範囲は、169.254.0.0~169.254.255.255ですが、リンクローカル・アドレスは、パソコンが自分自身に割り当てる(APIPA機能)ためのIPアドレスなので、ユーザーが使うことはしません。

クラス分け

プライベート・アドレスが3種類あるのは、それぞれ適用するサブネット・マスクのデフォルト値が異なるからです。IPアドレスは、全体を5つのクラスに分け、クラスごとにサブネット・マスクのデフォルト値が決められています。デフォルトのサブネット・マスクをナチュラル・マスク(またはデフォルト・マスク)とも呼びます。

ナチュラル・マスクを利用しなくてもできますが、通常は設定ミスの回避、導入しやすい点からしてナチュラル・マスクを利用していることが多いです。Windowsのパソコンでは、IPアドレスを手動で割り当てるとサブネット・マスクには自動的にナチュラル・マスクが入力されます。サブネット・マスクの割り当て間違いで通信不能を回避するためには、なるべくナチュラル・マスクを使用した方がよいでしょう。

では、それぞれのプライベート・アドレスにナチュラル・マスクを適用した場合、IPアドレスの数を見ていきましょう。クラスAのIPアドレスは10.0.0.~10.255.255.255で、これにナチュラル・マスク255.0.0.0を適用すると、クラスAのプライベート・アドレス全体が1つの連続したブロック(塊り)となります。

IPアドレスを特定ブロックとして表記するときは、まずIPアドレスを記述し、その後ろに「/」を書き、最後にサブネット・マスクの「1」の数を書いて表現します。この表記をCIDR表記、またはプレフィックス表記などと呼びます。IPアドレスの先頭から何ビットまでがサブネット・アドレスであるかが識別できます。クラスAをCIDR表記で記述すると10.0.0.0/8というブロックになります。これは、IPアドレスが1677万7216個が存在する1つのブロックになります。つまり、社内LANにおいて、1つのネットワークに1000万台以上の機器が存在できることになりますが、このような数が1つのネットワークになることはほとんどないです。これからして、クラスAのプライベート・アドレスを社内のネットワークで使うことは一般的にありません。

実用的なプライベート・アドレス

次にクラスBを見ていきましょう。クラスBのIPアドレスは172.16.0.0.~172.31.255.255で、ナチュラル・マスクは255.255.0.0です。これから、アドレス全体が16個のブロックに別れ、1ブロック当たり6万5536個のIPアドレスが利用できます。このクラスBであれば、最大16のサブネットのネットワークが利用でき、それぞれのサブネットに6万個以上の機器を設けられるので、IPアドレスが不足することもないです。

クラスCも同様に考えていくと、アドレス全体が256個のブロックに分けられ、1つのブロックで256個のIPアドレスが利用できます。実際には、社内LANの規模に応じてクラスBまたはクラスCのアドレス・ブロックをサブネットに割り当てて使われています。ほとんどの場合は、クラスCを用いているケースが多く、その理由はたいていのLANは200台程度の機器を収容できれば十分だからです。もし、200台以上のLANになるのであれば、クラスBを採用するものだと考えればよいでしょう。

利用不可のアドレス

どのクラスにおいてもプライベート・アドレスを使うのであれば、実際のネットワークの大きさに合わせてサブネットごとに、そのアドレス・ブロックを割り当てます。割り当てる際の絶対的なルールはありませんが、プライベート・アドレスを割り当てる際はメンテナンスなどに考慮して分かりやすく割り当てることをお勧めします。例えば、部署ごとに割り当てるならば、総務部は192.168.1.0/24、営業部は192.168.2.0/24、経理部は192.168.3.0/24などと割り当てると、部署ごとにトラブルが生じた場合は、原因を特定しやすくなります。

ただし、アドレス・ブロックの最初のアドレスと最後のアドレスは機器には割り当てられません。最初のアドレスをネットワーク・アドレスといい、サブネット自体を表すためのものです。最後のアドレスはブロードキャスト・アドレスといい、サブネット全体への同報通信の際に使われるものです。このため、実際に機器に割り当てられるIPアドレスの数は、各ブロックの総IPアドレスの数から2を引いた数となります。

【IP:IPアドレスのブロック管理】