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ネットワーク

IPアドレスを知る

IPネットワークを理解するにはIPアドレスを理解することが必要です。このスキル講座で、IPアドレスの知識の再確認をしましょう。
ネットワークを利用している人なら、パソコン、サーバ、プリンタ、ルータなどでIPアドレスを割り当てる場面を経験しているはずです。このIPアドレスの数字の羅列の意味が理解できないと、適切な割り当てや管理が煩雑になってしまい、トラブルなどが生じたときの対処に苦労します。詳細より実体そのものに焦点をあわせて記述していきますので、自分の知識をより深めてください。

パソコンへのアドレス入力

まず最初に、ネットワーク機器へのIPアドレス割り当てについて見ていきましょう。社内ネットワークとなるLANは、パソコンやルータなどで構成されます。そのため、パソコン、ルータなどの住所が分からなければ、通信データを送受信できません。その住所に当たるのがIPアドレスです。ただ、ネットワーク機器には2つのアドレスがあり、1つがIPアドレス、もう1つがMACアドレスです。MACアドレスはLANボード、LANカードにユニークに付けられたアドレスで、これを変更することはできません。あまりユーザは意識することはないので、割り当てるということはしません。ここでは、このMACアドレスについての記述は省略し、IPアドレスについての説明とします。

さて、IPアドレスの割り当てですが、パソコンでは、TCP/IPのプロパティの画面で、IPアドレスやサブネット・マスク、そしてデフォルト・ゲートウェイにアドレス情報を入力します。これはルータなどでも同様です。

つまり、その機器自身の住所を設定しなければなりません。このように手動でアドレス情報を記述することを静的アドレッシングと言います。それに対して動的アドレッシングがあります。これはDHCP機能を利用してIPアドレスを自動的にパソコンに割り振るので、IPアドレスを各パソコンに割り当てる手間が省けます。パソコンであれば、TCP/IPのプロパティ画面で「IPアドレスを自動的に取得する」にチェックを付ければDHCPクライアントとなるので、DHCPサーバからアドレス情報を取得できます。ネットワーク環境に応じて、手動にするのか自動取得するかを決めます。ちゃんと設定されているかどうかの確認は、コマンド・プロンプトを起動して、「ipconfig」コマンドを実行すれば確認できます。

DNSサーバ、DHCP有効などのアドレス情報を確認する場合は、「ipconfig/all」をコマンド・プロンプト画面で入力すれば表示されます。

アドレス情報の基本

パソコンに割り当てる基本のアドレス情報は全部で4つあります。IPアドレス、サブネット・マスク、デフォルト・ゲートウェイ、そしてDNSサーバです。どれもIPアドレスを入力しますが、IPアドレスは32ビットの数値(2進数値)で、これを8ビットごとにピリオドで区切り10進数に直した数字で「XX.XX.XX.XX」のような形式になります。この4つの項目は、すべて10進数値で入力し、どれでも1つの値を間違うと通信はできません。

IPアドレスは、ネットワークの中で自分自身を示すための情報ですので、ネットワークで繋がっている他の機器と重複しない値を割り当てます。デフォルト・ゲートウェイには、通常ルータのIPアドレスを入力します。他のネットワークと通信をする場合、ルータがその出入り口の役目をします。外部ネットワークとの通信をする場合は、ルータにデータを送ることになるので、ルータのIPアドレスを登録しておくための項目がデフォルト・ゲートウェイになります。DNSサーバに入れる数値は、ドメイン名からIPアドレスを取得するときに問い合わせるDNSサーバのIPアドレスになります。これを設定することで、通信相手のIPアドレスを知らなくても、自動的に相手のIPアドレスを調べてくれるドメイン名を使った通信を可能にしてくれます。

さて、最後の1つサブネット・マスクですが、これは他のアドレス情報と性格が異なります。同じく32ビットの数値ですが、パソコンに割り当てたIPアドレスとセットにして利用し、パソコンがつながっているLANの範囲を決めます。詳細は後で記述しますが、同じLANにつながっている機器には、すべて同じサブネット・マスクの値を入力しなければならないことだけ覚えておきましょう。簡単に言えば、同じグループのパソコンにしたければ、サブネット・マスクは同じ値に揃えるということになります。

サブネット・マスクとは

サブネット・マスクのサブネットの意味を考えてみましょう。サブネットとは、ネットワークをルータによって分割したネットワークのことです。例えば、ABCネットワークをルータで分割して、XネットワークとYネットワークの2つに切り分けた場合、ABCネットワークは2つのサブネットで構成されていると言えます。

サブネット内の機器同士はルータを介さずに通信できますが、異なるサブネット同士で通信する場合は必ずルータを介して通信します。また、そのサブネットをルータでさらに細かなサブネットにでき、最終的には1個のサブネットのLANとなります。となると、サブネット=LANということが言えます。基本として同じサブネット(LAN)内の機器に割り当てるIPアドレスは連続したものにします。

IPネットワーク通信の仕組みは、サブネットを基本単位として通信しています。つまり、パソコンやルータは、あて先となる機器が存在するサブネットに届け、そのサブネットに届くとあて先となっている機器にデータを送ります。このような仕組みで通信が行われるので、個々の機器にはサブネットを特定するサブネットアドレスと、そのサブネット内で機器を特定するホストアドレスの2つを意味するIPアドレスを割り当てることになります。よって、IPアドレスはサブネットアドレスとホストアドレスで構成されていることになります。。IPアドレスからサブネットアドレスを取り出すのがサブネット・マスクの役目です。

例えば、パソコンがデータを送信するときに、あて先となる機器が自分と同じサブネットなのか、それとも異なるサブネットにあるのかを判断しなければいけません。もし、同じサブネット内にいるのであれば直接届けることができますが、異なるサブネットであればルータに中継してもらわなければなりません。よって、あて先となるIPアドレスからサブネットアドレスを知ることが必要なので、IPアドレスとサブネット・マスクからサブネットアドレスを割り出せるようになっています。ここでは、サブネットアドレスと記述していますが、ネットワークアドレスと表現されている書籍も多いようです。

サブネットアドレスを割り出す方法

さて、サブネット・マスクの使われ方を見ていきましょう。
では、IPアドレスとサブネット・マスクを、ある例えたもので説明していきます。1台のパソコンのIPアドレスが192.168.2.10で、サブネット・マスクが255.255.255.0とします。この2つの数値でサブネットアドレスを導く手順を下に列挙します。

結果を見ると「*」より左側の0と1で記述されている数値がサブネットアドレスとなる。列記した2進数を10進数に変換すると、192.168.2.*となり、これがサブネットアドレスということになる。このサブネットは、192.168.2.0~192.168.2.255までを1つのグループとし、このパソコンはその中の192.168.2.10のIPアドレスを持っていることになります。よく見れば、左から3つ目(192.168.2)までの数値はは同じであることが分かると思います。この例で言えば、4つ目(0~255)の数値がホストアドレスとなります。ただ厳密に言えば、ホストアドレスは1~254までになり、最初と最後の数値はホストには割り当てられません。理由は、最初の192.168.2.0はネットワーク全体を表すアドレスで、最後の192.168.2.255はサブネット内すべてのホストに通信する時に使われるアドレスだからです。これらの機器に割り当てられないアドレスを予約アドレスと呼びます。

さて、サブネット・マスクのマスクの意味は「覆い隠す」です。サブネット・マスクを2進数で表したとき、1になっている部分は隠さずに見せ、0になっている部分は覆い隠すマスクの部分になります。この隠さずにいる値がサブネットを特定したネットワーク部で、隠されている値がサブネット内の機器を特定するホスト部となります。

【IP:IPアドレスを知る】